「東の空が白く明るくなりましたよ」。これは私たちが小さかった頃、母が私たちを起こしてくれたあいさつでした。
父と母は早くからロザリオの祈りをし、終わってから私たちを起こして家族皆で朝の祈りをしました。
戦争が終わって神学生たちが次々に帰ってきても神学校は病院になっていましたので、病院の焼け残りの一室において司祭、修道士、私たち病院職員の希望者たちは床にひざまずいて七連のロザリオを祈りました。
ある神学生たちは十字架の道行きの祈りをよくしていました。私たちはこの方たちのお手本に教えられて今があると信じています。

私の修道召命のきっかけまた人々との出会いなどを思うとき、“マリアを通してキリストへ”という一つのメッセージが心に浮かびます。神のひとり子の母マリアは、私にとって、キリストへの案内人であり信仰生活のモデルです。
私は、小学低学年から高校2年まで、“病人を健康人へと癒す医師”になるつもりで励んでいました。しかしながら神のご計画は、私が修道女となって存在することだったようで、今があります。
病める人、助けを必要とする人々の近くで……という夢は、当修道会との出会いによって実現したと理解し感謝のうちにこの賜物である道を歩んでいます。

私は看護師として働きながら、心のどこかで修道生活のことがくすぶっておりました。
一歩を踏み出す勇気のない私は、このことを考えないようにと好きな看護師の仕事に集中しましたが、いつの間にか道は整えられこの生活に導かれていることに気づきました。
「これこそ私が望み、探し求め、心からしたいと願っていること」、聖フランシスコのこのことばに出会い、聖フランシスコに倣う生き方を熱望し、そして「今」があります。
神様はその時々に私に必要な恵みを注ぎ、弱い心を立ち上がらせてくださいました。「神様がいつもともにいてくださること」に信頼する、これだけあれば恐れはありません。
神様の限りない慈しみとあわれみを日々体験しつつ、神様のなさる不思議な業を思いめぐらすと、神様の導きの先には必ず光があります。

私にとってキリストと共に生きる事は神様からの最高の贈り物です。
28歳で洗礼を受け、38歳で修道会に入り、42歳で初誓願宣立をした遅刻の修道者です。
信者である姉のために時々カトリック書店に行っていた私は書店のシスターから召命の集いに誘われて、当初「信者ではありません」と答えたことが、洗礼を受けるきっかけとなりました。
取るに足らない私を選んで神の家に泊まらせ、自由意志を与えて、主の呼びかけに応じることができるように導いてくださった主の愛に深く感謝いたします。
召命は時があり、それぞれにぴったり合う家 これより　修道会があると確信しております。
私は、聖フランシスコ病院修道女会日本管区で姉妹たちと共に神に賛美を捧げる奉献生活が、人生で最も大きな恵みであると確信しています。
私は生まれ変わってもこの道を歩きたいと思いを心に留めて、これからも引き続きキリストと共に生きて行きます。

多くの人は幸せを「得るもの」だと考えがちです。私が真の喜びを感じた瞬間は、「与えること」を通じて訪れました。それは、誰かの役に立ちたいという思いから始まった小さな奉仕でした。
誰かのために時間を使い、自分の力を差し出し、見返りのないその行為が、思いがけず自分の心を温かく満たしてくれるのです。感謝の言葉や笑顔、自分の存在が誰かを支えていると気づく瞬間は、かけがえのない幸福です。
奉仕とは自己犠牲ではなく、他者とつながり自分の価値を見いだす道であり、静かな喜びを与えてくれる行為です。
真の喜びは自分を超えたところにあり、奉仕の中で見いだす喜びは色あせることのない心の宝です。そして、真の奉仕の喜びとは、その奉仕を通してイエスに出会えることにあります。これは、どこにいても何をしても、常に心に刻んでおきたい大切なことです。